体を夏モードにシフトする「暑熱順化」

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日差しや風が心地よい季節となりました
そろそろ冬物の片付けや紫外線対策を考えている方もいらっしゃると思います。
四季がはっきりしている日本でも、近年は突然夏日になったかと思うと翌日には雪が降るなど、何を着たらよいものかと戸惑うことも多くなりました。

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 ヒトは外部環境に影響されることなく体温を一定に保つことができる恒温動物です。
暑い環境下においては皮膚血管を拡張させることで体の表面から熱を放出し、かつ汗をかくことによりその気化熱で体温の上昇を防いでいます。
徐々に気温が上昇して季節が移り変わる場合には問題なく体温調節機能が働くのですが、急激な気温の変化に対しては、体は準備不足のために体温調節機能が働きにくくなります。
昨年、例外的に早く梅雨が明けて急に猛暑が訪れたことにより、多くの人が熱中症で緊急搬送されたというニュースは記憶に新しいと思います。

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 どのような準備をすれば体温調節機能の働きがよくなるのかというと、「汗をかくこと」がカギとなります。

普段から運動などで汗をかく習慣があるならば良いのですが、運動習慣があまりなく「いつ汗をかいたか思い出せない」という方は、体が冬モードのままなので汗をかきにくく準備不足の状態にあると言えます。
かといって急に汗をかくまで運動をするのも簡単なことではありません。

そこで簡単に汗をかく方法として「入浴」を利用することをお勧めします。
おふろは日本人にとって生活習慣の一部であり、気軽に継続して行うことができます。暑くなってくるとシャワーで入浴を済ませることも多くなりがちですが、シャワーではなく、しっかり湯船につかって無理のない程度に汗をかくことが、体のスイッチを冬モードから夏モードへシフトするためのトレーニング「浴トレ」となります。

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 「浴トレ」の方法は、40℃の湯に全身浴で15分間つかること、または41℃の湯に10分間つかることを2週間継続することで、血行促進が亢進され発汗機能が高まります。

これを暑熱順化(夏モードにからだがシフトすること)と呼び、熱中症対策のひとつと言えます。
順化までに要する期間は個人差があるので余裕をもって早めに暑さ対策に備えることが大切です。
発汗する入浴を習慣化することにより、体温が高まると素早く発汗して体温調節を行うことができるようになります。

入浴中の暑さが気になるようなときは、メントール配合の入浴剤を使用すれば、温浴効果を高めながら爽快感と疲労感の軽減を感じることができます。
入浴の決まり事として入浴の前後には水分補給を行い、脱水症状をおこさないように注意してください。

石澤太市

コラム記事監修

株式会社バスクリン つくば研究所フェロー

博士(薬学)石澤太市さん

こちらもあわせてご確認ください。

よくあるご質問「入浴剤を入れてもいいですか」|株式会社ノーリツ

参考:

●株式会社バスクリンHP 熱中症予防のための入浴法提案サイト
https://www.bathclin.co.jp/sp/summercheck/

●入浴による継続的な熱負荷が発汗機能を向上させる.学会リリース.株式会社バスクリンHP
https://www.bathclin.co.jp/rd/news/2020/0521_9872/

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